2018年3月27日火曜日

[review]永原真夏「GREAT HUNGRY」



ちょっと時間が経ってしまったんですが、素晴らしいアルバムのレビューです。
ずっと楽しみに待っていたものが、想像を超えて良いものだと嬉しくなりますね。



永原真夏、ソロとしての1stフルアルバム「GREAT HUNGRY」のレビューです。



怒りと遊びのアルバムですが、歌の根底にあるのはいつも祈りと希望です。
                                            -----永原真夏(Instagramより)


GREAT HUNGRYとはとってもぴったりなタイトルをつけたもんです。
このアルバムは永原真夏という人格がそのまんま音楽になって踊ってるみたいなのだ。
これまで親しまれた果実たちも美味しそうに実っているけれど、新しい枝葉も気持ちよさそうに揺れてる。
A面はラウドでぎゃんぎゃんうるさいパンク・ロック・サイド。
B面はセンシティヴでメロウな側面が色濃く出たロマンティック&センチメンタル・サイド。
アナログ化の予定があるのはわかりませんが、多分5曲目が終わったらレコードを裏返すことになるんだろうな。

ふだんは新しいアルバムを手に入れても、Macにディスクを放り込んで、
ネットサーフィンなどしながら聴くのだが、ことこのアルバムに関しては、
じっくりと向き合いました。歌詞カードとにらめっこしながら熟聴。
永原真夏の声、感情、全ての楽器の音、言葉/詩、信条、アートワーク。
たくさんの喜怒哀楽が詰め込まれた、音楽を主軸とした素晴らしいアート作品。




以下、ご本人のリリース時のコメント。

アルバムができました。とっっっても、自信作です。 「ファック ユア ボーダー!」の精神ゆえ、打ち込み、フォーク、ロックなど、骨組み的にはジャンルは多岐に渡ります が、これは、まごうことなきわたしのパンクです。 飯屋の話と仕事の愚痴とキャリアの話しかできない大人にはなりたくないし、立場やイメージで態度を変えたりする 人間にはぜーーーーーったいに、なりたくない。 そんな盛んな反骨精神とめきめきわいてくるエネルギーに、遊びとファンタジーのリボンを蝶々結びしました。 孤独な君を、この音楽でぜったいに孤立させないぞ。 君の孤独のためだけに鳴らします。 タイトルは「GREAT HUNGRY」。 なにかにつけて大食漢だからです。(リリース決定時のコメントより)



1曲づつ語りたいのだ。

1. ダンサー・イン・ザ・ポエトリー
アコースティック・ギターとヴォーカルのみで表現されるソリッドなオープニングトラック、
いきなりの骨と魂のみの剥き身を提示。そして、ことばは跳ねる踊る。




2. 僕の怒り 君の光
振り落とされるディストーション・ギターの稲妻。
「バイオロジー」「平和」の系譜を継ぐぎゃんぎゃんうるさい素敵なパンクロック。

3. あそんでいきよう
アナログでもリリースされた先行曲。打ち込みとバンドサウンドが掛け合わされた新境地。
彼女のモットーを朗らかに歌い上げる決意表明曲。
「ずっとずっと回る世の中で ずっとずっと遊んで生きよう」。
一見楽観的&能天気だけど、このことば、だいぶ深読み出来ると思います。

2018/4/5 MVが公開されました!


4. オーロラの国
5. HAPPY GO LUCKY
そしてシングルとしてリリースされた「オーロラの国」「HAPPY GO LUCKY」という
最強無比の流れ。
永原真夏の真髄が詰まったこの2曲を連発爆速で浴びせられるのは至福でしかないのです。




6. うさぎ春日
(自分の中での) B面のオープニング。
うさぎを主人公とした可愛らしい歌だけれど、春と別れを歌うメロディアス&おセンチな佳曲。
桜が咲いたらこの曲を聴きたいな。アニメーションでMVつくって欲しい。

7.原チャリで荒野を行くのだ
キッチュでキュートな2分半ポップ・ソング。まなっちゃんはもちろんセバにもなかなか無かったような感じ、
フレッシュで大好きです。有りです。ex.うみのての高野京介がギターで参加。

8.Quatz Waltz
一転してダークで尖った感情が顔を覗かせるミドル・テンポの楽曲。
永原真夏という人は「陽」に見えて、かなりの量の「陰」が潜んでいる人だと思うのですが、
普段あまりみられない「陰」の部分がじんわりと滲み出ている。

9.FIRE
ヒップホップのリズムに乗ってアップリフティングに着火FIRE。
アルバムの中ではこの曲か「原チャリ」が特に好きだ。気分をあげていきたい時にね。
横ノリで泣きながら踊ろうぜ。心の中で100円ライターを掲げてね。

10.フォルテシモ
ここ1年ほどのライヴで演奏され、泣きの名曲として新たな定番化を遂げている、
「フォルテシモ」も本作に収録。この曲も「うさぎ春日」と同様に「後悔と願い」を歌う。
と、同時に力強く発せられるエモーションが聴くものを強く鼓舞する。


この曲で幕引きでも良いとは思ったのだけれど・・・

11.SUPER GOOD
ラストは、真夏+歩里のユニット・音沙汰のアルバムにも収録され、
スパグのライヴでも披露されることもある、これまた超定番の名曲「SUPER GOOD」。
「今、この曲を収録するの?」とも思ったけれど、
ロックンロール・バンドの意地と衝動が感じられるアレンジになってました。良し。

音沙汰VersionのMV(2014)。





もっと理解を深めたいときに読むテキストを3つご紹介。







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